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賭け将棋の世界を垣間見る


賭け将棋をテーマにした短編の漫画があります。
作者は、「課長島耕作」とか「人間交差点」で著名な弘兼憲史氏。

読んだのは10年位前ですが、かなり強烈な印象が残っています。
この短編は以下の文庫本の中に収録されています。

弘兼憲史短編集 (2) (講談社漫画文庫)

簡単にあらすじを紹介します。(読んだのは昔なので、細部に若干の違いがあるかも知れません)


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時代設定は、1960年代の後半(昭和40年代)でしょうか。
主人公は、妻子と家のローンを抱えた普通のサラリーマン。
将棋の腕に覚えがあり、たびたび賭け将棋が開かれる一室(賭場)に出入りして小遣いを稼いでいた。

賭け将棋の主催者も参加者も見た目はヤクザではなく、ごく普通の中年たち。(雀荘を高レート化したマンション麻雀のようなイメージです)

賭け将棋のシステムは、低い賭け金からはじまって、両者の合意があれば一手ごとに掛け金がつり上がっていく方式。(実力差が大きい場合は、低い掛け金のまま勝負を終えることができる)

主人公はいつものようにそこそこ稼いだ後で、次の相手を求める。
そこで、同じように勝ち頭の男をみつけて勝負することに。
相手は冴えない平凡なサラリーマン風。


<ここから先、ネタバレになります。漫画で読みたい人は見ないで>


将棋は中盤まで進んで、主人公のペース。相手の実力はそれほどたいしたものではなかった。
主人公はもっと稼ぐために掛け金を吊り上げていく。相手もなぜか同意し続ける。

終盤に至って、賭け額は跳ね上がっていった。
賭場にいる人間はすべてこの一局に注目している。

最後の最後、掛け金が尋常じゃない額になったとき、相手のメガネがキラリと光る。
主人公優勢のはずだったが、実は気づきにくい負け筋が残っていた。
相手は掛け金を吊り上げるために、最初から最後まで、主人公を手玉にとっていたのだった。
もしかしたら相手はプロ棋士崩れではないか・・・

サラリーマンの主人公は尋常ではない借金を背負うことになる。
もちろん、こんな遊びをしていることは家族は知らない。
主人公はふっきれた顔で何事もなかったかのように家族の元に帰っていく。


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、、、といった話です。

妻子のいる平凡な日常と薄暗い賭場のヒリツク感覚が、みごとなコントラストになっていました。
手慣れた遊びだったはずが、掛け金がつり上がることで後戻りのできない蟻地獄へと変わっていく。
そして、自分を追い込んだ相手がどこまでも凡庸な外見の男というのも、将棋の怖さがにじみ出ています。

この作品で興味深いのは、賭け将棋が一般だった時代の空気を感じることができる部分です。
実際にあった賭け将棋の世界に近いかどうかは、私にはわかりませんが。

ただ、いわゆる「賭け将棋」のイメージよりも現実に近いような気がしました。

賭け将棋といえば戦後の「真剣師」が思い浮かぶわけですが、「和服のアウトロー」といったイメージが根強いと思います。

しかし、現実の賭け将棋は、この漫画に描かれているようなもので、もしかしたら麻雀と近い雰囲気だったのかも知れません。スーツを着た普通のサラリーマンたちが小遣い稼ぎでやっている、ちょっとだけアンダーグラウンドの遊びだったのかも。
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by clickshogi | 2012-11-17 20:26 | 将棋本レビュー | Comments(0)