藤井九段から見ると、第3局、4局がちょっともったいなかったですね。
終盤まで藤井有利で進んでいたので、きっちり勝利できればタイトル獲得もありえたと思います。
逆にいえば、負けそうな将棋でも勝ってしまう羽生二冠の「勝負強さ」が光ったシリーズだったと思います。
見応えのあるシリーズでした。
ところで、第5局では羽生二冠が新手を繰り出しました。
<37手目 先手1六角>
単純に2五歩とされそうですが、次に3八飛。
後手の守りが薄く、歩切れを誘い、先手に竜ができた時点で成立した模様です。
(後手が4四に飛車を浮かせる手順は、もう二度と出てこないかも知れません)
藤井九段は新手の1六角を見て衝撃を受けたのか、大長考になり封じ手となりました。
しかし、結果は2五歩という、ごく予想された手でした。
他の手を必死に探したのかも知れません。
時間的にも、追い詰められた形になってしまいました。
得意の戦法が決まっているスペシャリスト系の棋士は、研究手に翻弄されるケースが多いかも知れないですね。対局相手からみれば、戦法が予想できるだけに対策のし甲斐がありそうな感じです。