佐藤慎一4段 VS ponanza
佐藤4段が投了して、コンピュータ将棋が始めて現役プロ棋士を破るという歴史的な一局になりました。
いやー。熱い戦いでした。
人間同士の対局と違って、対コンピュータとなれば、心置きなく片方に肩入れして応援できます。
観戦した誰もが、やはり人間側を応援してハラハラしていたと思います。
こういう対局観戦は今までなかったように思います。
観戦者がみんな同じサイドを応援し、心置きなくエールを送るという。
W杯のサッカー日本代表を応援する気分に近いものがあります。
日本人の観戦者はみんな日本代表を応援しているので、観戦者に一体感があるような感じ。
開発者の方も、自分のプログラムで勝ちたいけど、一方でプロ棋士に頑張ってほしいという矛盾した気持ちがあるとインタビュー動画で語っていました。
電王戦は他の棋戦とは違った、個性的なタイトル戦になりそうです。
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対局内容は、ponanzaの細い攻めが続くか、佐藤4段が受け切れるかの勝負でした。
最後の最後まで白熱する戦いでした。
前回と同様、ponanzaも無理攻め気味。
これがコンピュータ将棋の特徴なのでしょうか。
終盤でプロ棋士側が優勢に見えた局面もあります。
ただ、プロ棋士側に疑問手が何度かあり、逆転を許すことになってしまいました。
これはしょうがないですね。
疲れもピーク、時間もない中での指し手のことです。
「はじめてプロ棋士がコンピュータに負けた」
という書かかれかたをメディアでされると思いますが、まったく気にすることはないですね。
コンピュータ将棋が強いことはわかっているので、「はじめて」かどうかは、すでにどうでもいいことです。
プロ棋士とコンピュータが100回対局すれば、何割かは敗北するはずです。それが1割か、2割か6割か、7割か、それはわかりませんが。
米長前会長は生前、第2回電王戦は「人間側の3勝2敗」と予測したそうです。
「はじめて負けたかどうか」という話ではなく、「人間側が何割くらい勝てるか」みたいな興味の持ち方をする段階です。
それほどコンピュータ将棋の水準は高くなっているということでしょう。
実際、PCに入れた練習用のソフトで、「勝ったり負けたりしていた」とプロ棋士が言っているわけですから。
佐藤4段は対戦を引き受けたから「はじめて負けた」ことになっただけの話です。
悔しいのは当然だとしても、会見で言っていた「他のプロ棋士に迷惑を・・・」というのは、まったく気にすることではないです。
そのうえで、コンピュータ将棋側から見ると、40年の月日を経て念願が叶ったわけです。
開発者の方々に拍手を送りたいです。
「コンピュータが人間を超えるのは絶対に無理」と言われた時代もあったわけで、感慨深いものがあります。
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米長前会長は、プロ棋士とコンピュータ将棋との共存共栄を望んでいたそうです。
今回の対戦はこれほど面白くて、ニコニコ動画の視聴者は40万人を超えていました。
すでに共栄共存ができていると思います。